試験傾向が変わるなどして、内容が有効でなくなる可能性があります。
事前準備
戦略の策定
過去問や問題集を解いて時間を計り、次のことをあらかじめ決めておきましょう。
- 語彙問題、長文問題、要約問題、英作文問題をどの順番で解くか、それぞれの時間配分をどうするか
- リスニング問題の下読みをするか、するならどの順番でか
本番では、予定の時間になったら未練を残さないようにしましょう。例えば長文問題の最中に時間が来たら、残った問題を適当にマークし次に進みます。
持ち物
持っていくもの、持っていった方がいいものは以下のとおりです。
- 筆記用具(HBのシャープペンシル「と」黒鉛筆、消しゴム)
シャーペンは芯がなくなったり出なくなったりする可能性があるので、鉛筆も持っていきましょう。試験中に手を滑らせ落とした時のため、どちらも複数本用意しておきます。
マークシートではシャーペン、ライティングでは鉛筆の方が便利です。マークシート専用のシャーペンもありますので、「シャープペンシル マークシート」で検索してみてください。
余談ですが、買い物のコツとして「Amazonで検索して出てきたものの中で一番売れているものを購入する」というのがあります。
「枕」「コーヒーミル」「鼻毛切り」など何でも構いません。一定期間内であれば、返品すると返金されます(全額返金されない、または返金そのものが行われない場合があります)。
- 鉛筆削り
試験中に削る余裕はないでしょうが、試験前に鉛筆の芯が折れているのに気づいた時などのため持っていってもいいでしょう。
- 時計
試験中はスマホや携帯電話などの電子機器を使用できず、時計が会場に設置されていない場合があるため、腕時計や置き時計を(不安なら複数)持参しましょう。当然ながら、アラームは切っておきます。
試験開始前
席が指定されていない場合、リスニングの音声が聞きやすい前の席に座るのが無難です。
試験中はとにかく後戻りせず、先に進みましょう。特にマークシートでは一度塗りつぶしたら不安でも消して塗り直さず、「1問や2問、間違えても全体で7割できればいい」と楽に構えます。
リーディング問題
語彙問題
準備については、「英検1級1次試験の語彙問題対策―英単語・熟語の覚え方」をご参照ください。
まず選択肢4個を確認し、次に本文をカッコの近くから見てゆきます。
英検は外れの選択肢3個が明らかに間違っているため、当てはまりそうだと感じたら選択します。リスクはありますが、長文問題、ライティング、リスニングが控えているため時間と労力の節約を優先します。
例えば、選択肢にhindsightやretrospectがあるとします。
そして本文の冒頭が
In ( ), …
となっていた場合、in hindsightやin retrospectという熟語と考え、本文の他の個所を見ずにこの選択肢を選びます。
長文問題
準備については、「英検1級1次試験の長文問題対策―構文解析」をご参照ください。
穴埋め問題は選択肢を選ぶのが比較的難しいので、本文を全部読んでから解答してもいいでしょう。
Questionに答える問題はまず選択肢以外の個所を確認し、本文の最初のパラグラフを読んだら最初のQuestionに戻り、答えられるなら解答します。
選択肢が長いため、例えば1を答えと判断した場合、2以降の選択肢を読まずに1をマークし本文に戻りましょう。
本文の途中で全部のQuestionに解答できたら、本文を最後まで読まずに次の問題へ進みます。
ライティング問題
全般
綴りが不安な単語は避ける
綴りが不安な単語は避けましょう。
例えばassassinateと書きたいけどスペルに確信が持てない場合、killとしておけば減点を防げます。ただ他の表現が思いつかなければ、自信がなくてもassassinateと書いて先に進みましょう。要は、必要以上に悩んで時間とエネルギーを消費しないことです。
採点基準が分からないため、assassinateと書いたつもりでスペルを間違っている方が、killと何度も書くより点数の高い可能性も否定できません。そこは自己判断でお願いします。
「英検1級2次試験対策(当日編)」では「本番ではミスを恐れない」と書きましたが、ライティングではリスクを冒さないようにします。
物質名を元素記号で
物質名を元素記号で表すこともできます。
carbon dioxide→CO2
といった具合です。
組織のトップをthe head ofやthe leader ofで
社長、班長、級長など組織のトップに当たる英語が分からない場合、the head ofやthe leader ofという表現が便利です(日本語では「トップ」と言いますが、英語ではheadが一般的です)。
例えば中国の国家主席はChinese Presidentですが、Presidentという語が出てこなかった場合、the head of Chinaと書いておけば少なくとも間違いでありません。
要約問題
準備については、「英検1級1次試験の要約問題対策―一般化とパラフレージング」をご参照ください。
記述の際には解答用紙を各パラグラフに合わせて3分割しておけば、それまで書いたものを消して書き直すリスクを減らせます。
英検1級解答用紙のサンプルによると、要約問題の解答欄は20行です。1行に6ワードと仮定すると18行で108ワードとなり、Suggested lengthの90-110 wordsに収まります。
字の大きさは人それぞれなので、事前に書いてみてあらかじめ把握しておくとよいでしょう。
単語の長さによって行ごとのばらつきはあるでしょうが、平均して6ワードになると仮定します。
パラグラフは3個なので、解答用紙を次のように分割します。
- 1-6行目→第1パラグラフ
- 7行目→空欄
- 8-13行目→第2パラグラフ
- 14行目→空欄
- 15-20行目→第3パラグラフ
これは、各パラグラフの分量がほぼ同じ場合です。パラグラフごとのワード数が大幅に異なる場合、分割する行数を調整します。
このようにしておき、例えば第1パラグラフの要約が5行目までしか書けなくても、第2パラグラフの要約は8行目から書き出します。それにより、第1パラグラフの要約を後で書き足す際、第2パラグラフの要約を消しゴムで消す必要がなくなります。
加筆する際には吹き出しを使用するなどし、消しゴムで消すのを極力避けましょう。
ワード数は目分量で判断し、数える時間とエネルギーを節約します。
言い換えが思いつかない場合、他のパラグラフで使われている語句を持ってくるという手もあります。それも難しい場合、最終手段として同じ単語や表現を使用しましょう。
英作文問題
準備については、「英検1級1次試験の英作文問題対策―PREPとキーワード」をご参照ください。
いきなり書き始めるのではなく、アウトラインを作ることから始めましょう。
メモ欄で丹念に書いてから書き写すと時間がかかるため、概要が決まったら解答に入ります。
要約問題と同様、最初に解答欄を5分割します。
英検1級解答用紙のサンプルで、英作文問題の解答欄は28行となっています。
1行8ワードと仮定すると、
- 1-2行目→序論
- 3-10行目→本論1
- 11-18行目→本論2
- 19-26行目→本論3
- 27-28行目→結論
となります。
これも要約問題と同じで、例えば本論1が8行目や9行目までしか書けなくても、本論2を11行目から書き出します。そうすれば、本論1を後で加筆しやすくなります。
加筆する際には吹き出しを使用するなどし、消しゴムで消すのを極力避けましょう。
こちらも、ワード数は目分量で判断します。
本論の最初の言葉はfirst and foremost、last but not leastなどと長めにするより、firstやlastにしておいた方が内容を充実させられます。
ワード数がどうしても足りない場合、firstの後に吹き出しで”and foremost”と入れる手もあります。
リスニング問題
準備については、「英検1級1次試験のリスニング問題対策―ディクテーション」をご参照ください。
CEL英語ソリューションズ〔編〕 / ジャパンタイムズ〔編〕『最短合格! 英検1級 リスニング問題 完全制覇』(ジャパンタイムズ出版、2018年)で、Partごとに解き方のポイントが解説されています。
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可能ならば下読みしましょう。
Part 1が難しいのは、誰と誰(親と子、教師と生徒、上司と部下など)がどこ(自宅、学校、職場など)で話しているか事前に分からないところです。ただ選択肢を見ておけば、何となくでも見当をつけることができます。
本文が読まれている時にメモを取るかどうかですが、英検の場合、基本的には聞くのに集中した方がよいでしょう。
Part 1、2、4は外れの選択肢3個が明らかに間違っているため、本文の概要を把握できれば解答できます。Part 3では、条件に関わる数字や固有名詞をメモした方がいいこともあります。
集中して聞いても話の流れが頭に残らないなら、聞く訓練が足りていないということなのでメモしても解決になりません。
さらに言えば、Questionを聞く必要も基本的にありません。本文を聞き終えた時点で(場合によっては聞いている途中で)、その内容と合ったものを選択肢から選べばいいからです。
特にPart 4では最後のQuestionが読まれた10秒後に筆記用具を置かなければならないため、早めに解答しておく必要があります。
試験終了後
手応えにかかわらず、1次試験を終えたら2次試験に気持ちを切り替えましょう。1次試験の合格発表から2次試験まで間がないですし、1次試験を受ける前から2次試験の準備を始めても早すぎないくらいです。「英検1級2次試験対策(準備編)」もご参照ください。