英検1級2次試験対策(当日編)

私は英検1級の2次試験で3回続けて不合格となり、4回目で合格しました。その時の経験を踏まえ、当日の様子と気をつけることを以下に記します。

あくまで私の体験に基づくものですので、現状と異なる可能性があります。

目次

会場の控室で

注意すべきなのは、試験会場内は電子機器の使用が一切禁止なことです。

携帯電話やスマホは電源を切り、「受験者証(兼)携帯電話等収納ケース」に入れて首から下げ、トイレなどで控室から出る時は置いていくよう指示されます。タブレット端末などは電源を切ってかばんにしまいます。

試験前は、面接委員に渡す面接カード2枚(1級では面接委員が二人います)にHBの黒鉛筆かシャープペンシルで必要事項を記入するしかすることがありません。待ち時間が30分以上になることもあるため、復習する予定なら紙の資料を持参しましょう。

控室から面接待機席まで

試験時間が近づくと、先に来た人から係員に促され面接室の前に移動し、用意されている椅子に座って順番を待ちます。

そのため早めに会場に入ると早く面接を受けられますが、私の場合、遅かったことでメリットがありました。前の受験者の面接中、面接室から”smartphone”という単語が聞こえてきて、とっさにスマホが社会に及ぼす影響についてスピーチを考えたら、正にその通りのトピックがありうまくいきました。それも含め5個すべてが準備していなかったものだったので、この幸運がなければ合格しなかったかもしれません。ちなみに会場入りが遅れたのは、会場近くの神社でお参りしていたからです。神様が受からせてくれたのでしょう。

廊下で待っていると、面接室から係員の人が出て来るので面接カードを渡します。係員の人が部屋に一旦入ってしばらくしたら入るよう促されるので入室します。ここからのやり取りはすべて英語になります。

面接室に入ってから試験開始まで

入室すると正面に面接委員二人、左側に先程の係員の人が座っています。自分の近くに机と椅子があり、机の上には紙が裏返しに置いてあります。面接委員に促されたら座ります。面接委員がそれぞれ名前を言って挨拶するので、挨拶を返します。

面接委員は一人がネイティブの英語話者、もう一人が日本人で構成され、一人が男性、もう一人が女性となるようです。メインとサブの役割分担があるらしく、メインの委員から自己紹介を求められます。

自己紹介は採点には関係ありませんが、焦らないよう事前に考えておいた方がいいでしょう。私の場合、最初に試験を受けた時に名前と職業だけ言ったら趣味を尋ねられたので、2回目以降は趣味も話すようにしました。具体的には次のような感じです。

My name is Shohei Otani*. I’m a professional translator, so I always work at home. My hobby is to see movies. I see more than 100 movies a year. Frankly speaking, speaking isn’t my cup of tea, but I’ll enjoy this time and enjoy myself.

*実際には私の名前を言っています。

“more than 100 movies a year”は印象深かったようで、”Do you see movies at home or at a theater?”や”What kind of movies do you like?”などと質問されたので答えました。

それから面接委員に、机の上の紙の裏にトピックが5個書いてあり、ひっくり返した時点で試験開始だと告げられます。ひっくり返してからが本当の本番です。

試験開始から準備の1分

準備の1分間では、「トピックを選び、そのトピックでyesかnoのどちらにするかを10秒で決める」「一度決めたら変更せず、残り50秒でスピーチを考える」とよいでしょう。極端な話、1番目がドンピシャなら残り4個を見なくてもいいくらいです。とにかく最初の10秒が勝負だと心しましょう。

専門知識のないトピックは、質疑応答で対処できない可能性が高いため避けるのが無難です。

試験中にメモを取ることはできないので、頭の中だけで考えます。スピーチの組み立ては、「英検1級2次試験対策(準備編)」「スピーチを推敲」をご参照ください。

スピーチの2分

1分経つと係員の人から告げられます(係員の人はタイムキーパーを務めています)。面接委員から何番のトピックを選んだか聞かれるので答え、”You may begin.”か何か言われてスピーチを開始します。スピーチ中にトピックカードを見ることはできます。

2分経つと係員の人から指示されるので、途中でもスピーチを終了します。

質疑応答の4分

ここから、4分の質疑応答となります。基本的には、二人の面接委員が交互に質問するようです。気をつけたいのは、yesかnoで答えられる質問にはまずyesかnoを言うことです。その後、スピーチと同様に理由と具体例を続けるのですが、長めに言う方が自分のペースで話せますし、質問を聞き取って対応するエネルギーを節約できます。

例えば「英検1級2次試験対策(準備編)」「スピーチを推敲」「答えをあらかじめ準備する」でも挙げた次の回答の分量なら、話す時間は1分強でしょうか(本番ではゆっくり落ち着いて話すのが無難です)。すべての質問にこの量で答えたら4問目の途中で時間切れという計算になり、そのうちの1問を確実に答えられれば相当なアドバンテージとなります。

Vertical farming is the practice of growing crops in vertically stacked layers in a structure. It can increase crop yield with a smaller land, and cultivate a larger variety of crops at once, because crops don’t share the same plots. In addition, because of its limited land usage, it’s less disruptive to the native plants and animals, leading to further conservation of the local flora and fauna.

話せることに話をつなげる

スピーチや質疑応答では、これまで準備してきたこと、得意分野、経験談などを総動員し、多少強引にでも話を持っていきましょう。例えば私は”Why is diversity important?”という質問に、次のように答えました。

Diversity is important because it leads to generosity. For example, in the U.S., pro-abortion and anti-abortion factions are vehemently attacking each other and unlikely to compromise, so the integration of the U.S. is getting more difficult. Hence, we should respect various ways of thinking.

このうちFor example~more difficult.の文は事前に50回以上口にしていて、何も考えずにそらんじることができるものでした。このようなフレーズを多く用意しておけばおくほど、とっさに対処しやすくなります。

質問が聞き取れなかった場合

質問が聞き取れなかった場合、聞き返すしかありません。直接的には

Would you repeat your question?

などですが、尋ねられていることが何となく分かるけど自信のない場合

Do you mean…?

と聞くのがお勧めです。そうすれば、聞き取れたけど念のため確認しているのだと印象づけられます。

返答が思いつかない場合

返答が思いつかない場合、黙って考え込むよりは

I don’t know the details, but I feel that…

Of course, there are pros and cons…

などと口にしつつ、思考を巡らせた方がいいでしょう。

最悪なのは、何も言わず黙り込んでしまうことです。「英検1級2次試験対策(準備編)」「スピーチでの注意点」にも書きましたが、英検はあくまで英語の試験ですので、高度な見識や専門的な見解は求められていません。浅はかでも拙くても、極論を言えば嘘でもいいので(体験談なら真偽の確認のしようがありません)、今の自分にできる限りで喋りましょう

本番ではミスを恐れない

語彙や文法も、必要以上に気にしないようにしましょう。喋っても合格するとは限りませんが、黙っているより合格する確率を上げることはできます。何より英検で1次試験の点数は2次試験と関係ないため、極端な話、1次試験で満点でも2次試験で何も喋らなければ不合格です。語彙や文法については準備段階で解決しておき、本番ではミスを恐れないことです。

試験終了から面接室を出るまで

4分経つと、係員の人から終了を告げられます。話している途中でも終了ですが、面接委員が最後まで話すのを認めてくれることもあります。

これで試験は終了です。面接カードを最初のとおり裏返して退室します。この時、面接室を出るまで気を抜かないようにしましょう。面接委員から最後に言葉をかけられることがあります。他愛ない挨拶ですし採点にも含まれませんが、面接委員を味方にして損はありませんし、次の2次試験でまた同じ面接委員が担当する可能性もあるため”Thank you, bye.”ぐらいは言っておくのが無難です。面接室に入ってから出るまでが試験と心得ておきましょう。

終わりに―自分に言い聞かせてほしいこと

廊下で椅子に座って待機している時、三つのことを自分に言い聞かせてほしいと思います。

「面接カードをめくって最初の10秒が勝負」
「絶対に自分から黙らない」
「楽しめ」

1次試験は検定料を払えば誰でも受けられますが、2次試験は1次試験に受かった人しか経験できません。この希有な時間を存分に楽しんでください。

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